ボルドーといえば、ワイン?いえ、パインです。~フランス海岸松のはなし【前編】~
2025-07-03
注目
~ボルドー生まれの“赤い木目”に魅せられて~
ボルドーと聞けば、やっぱりまずはワイン。
「飲みすぎ注意!」なんて言いつつ、ついもう一杯…なんて経験、ありますよね。
でも実は、ボルドー地方にはもうひとつの名産品があります。
それが、ボルドーパイン(Pin maritime/フランス海岸松)です。
200年かけて育てられた森
いまでは豊かな森林が広がるランド地方。
ですが、18世紀までは「緑」とは無縁の、厳しい環境でした。
- 夏は乾燥、冬は洪水
- 大西洋から吹きつける強風
- 内陸へ押し寄せる砂丘の嵐
まさに“自然とのガチ勝負”。
暮らすだけで、精一杯だったようです。
そんな中、18世紀半ばから始まったのが海岸松の植林事業。
水はけを良くし、砂を食い止める目的で、一本ずつ木が植えられていきました。
ナポレオン3世も惚れ込んだ
19世紀に入ると、転機が訪れます。
ナポレオン3世がランド地方を視察した際、この広がる松林に目を見張ったのです。
「これは国家のプロジェクトにすべきだ」と、植林を国策として推進。
その後、1857年には法律も整備され、フランス全土へと植林の輪が広がっていきました。
こうしてランド地方は、ヨーロッパ最大級の人工松林へと成長。
現在では、約100万ヘクタールにおよぶ森林が、持続可能な形で守られています。

ワインとパイン、どちらも熟成のたまもの
ちなみに、同じ土地で育ったボルドーワインとボルドーパイン。
じっくりと時間をかけて育まれ、熟成された点ではどちらも名品です。
ワインは飲めばほろ酔い、
パインは見ればほれぼれ。
どちらも、フランス南西部が誇る“天然のごちそう”といっていいでしょう。